<概要>
7月13日(金)
対象:京大建築2回生
設計演習Ⅰ「Urban Context」講評会
「可能な限り建築になる前を追求して新しい建築を期待する」
本日は上記の講評会でした。
2回生の皆さん短い期間と不意な悪天でしたがお疲れさまでした。
総評で喋らせて貰った内容がイマイチ意味が伝わりにくかったと思うので、
改めて文章にまとめておきます(自分用にも)。
課題概要は、京都・明倫学区内で場所を見つけ、そこで一夜過ごす為の空間を構想するというもの。
宿泊機能を満たすような施設を設計するというよりも、都市のコンテクストを全身で味わう為の空間への
フックとして「一夜過ごす」が設定されていると思われます(課題の設定に筆者は関わってない)。
ざっくり言うと卒計に向けた最初の練習で、”都市”に対して発見的な面白い解釈してきてね、というものです。
本日の総評で僕は多くの作品が「都市の隙間に既にある変わったホテルが待ち構えてる」案という言い方で違和感を表しました。
これ自体は改めて文章で見ると面白いとも言えるんですが(笑)、コンテクストの概念が非常に狭く捉えられている感覚がありました。
どこか提案が建物と建物の隙間に床を見つけてくるような非常に物理的な側面が強調されていて、
自分が都市で寝る、ふるまう、あるいは好き勝手振舞う等という視点があまり見えない。
図面や模型で表されている範囲も敷地周辺で、比較的狭い範囲が多かった。
勿論いろんなアプローチがあり得て、正解もないのでいいのですが、少し「物々しい」感じで惜しい印象でした。
ここには「コンテクストを読む」→「建築にする」という過程が結構ぶつ切りの思考になっているのではと推察されます。
もっとコンテクストは豊かで広がりのある概念で、空間にすぐ結びつかないものも含めた方が面白いではないか。
その為の課題設定であり、必要図面も指定されず、手紙を要求されるという特殊な形式だったのではないか。
安易に建築にすぐいかない我慢。
つまりこういった課題では、そのコンテクストとそこでの振る舞いに出来るだけ足がついた状態で、
建築になるかどうかも分からない現象を作り、かろうじて空間化を試みることで新しい建築を期待したい。
安易に建築に行かない。この表現も抽象的で分かり難いかもしれないですが、そういった「粘り」が必要な気がします。
こういうことを敢えて言うのは、幾つかの提案でその断片が見えていたような気がしたからです。
そしてその建築未然の状態に対する評価がまだ無い印象だったからです。
これは容易に結論はでない課題ですので、今後も追求してほしいなと思います。
以上
因みに、最近の京大建築では、総評で助教を始めTAもコメントさせて貰える機会を与えられます。
本当にしっかり総評しようと思ったら、講評会中にメモでも取っておかないとダメだなと感じている、、、
OTa